written by 質六合・Zangetu
物語は本来、主人公を中心に進んで行くはずなのに『FF11』はストーリーが良い……という感想やコメント、噂を聞いたことがある人は多いと思います。
まあでも、ストーリーの評価なんて個人の趣味に大きく左右されます。
さらに物語が良いと言われるゲームは他にも多数存在していますから、それほど珍しい特徴でもない……と流してしまった人も多いのでは無いでしょうか。
古来、小説や映画、漫画など全ての物語に於いて、主人公は話の中心で活躍し、それによって様々な結果を導くことになります。
特にRPGのストーリーは、主人公がプレイヤーであり、名前を付ける事が可能だったりするので、なおさら、主人公主観となり、直接的な表現が普通になります。
「どうしますか?」「はい・いいえ」が繰り返されることで構築されている物語になりがちなのは仕方のないことなのです。
で。この「はい・いいえ」的な流れで避けて通れないのが、主人公=プレイヤーに関わってくるNPC絡みの物語。
特に、恋愛に関してはもう、当然の様に多数仕込まれています。
仮想世界であるRPGの世界で、モテモテになる。それはまあ、ロールプレイという点において真実であり、最強の魅力、武器でもあるからです。
仮想世界であるゲームの中とはいえ、自分の分身が魅力的なキャラクターにチヤホヤされるのは、ゲームシステムでしか味わえない、快感ですからね。
が。
そんな中。ヒロインが主人公=プレイヤーに惚れない正統派RPGってプレイしたことがありますか? 無い、またはそうそう思い当たりませんよね? 複数ヒロインが存在して、多種多様なパターンの一つでそんな展開があった……かもしれませんが、奇抜な原作系や企画モノ以外ではほぼ「無い」ハズです。
はい、もうお判りですね?
『FF11』の物語は全て、主人公=プレイヤーがヒロインを含む仲間と共に世界を救うというお決まりの展開、安定のど定番物語にも関わらず、主人公=プレイヤーとの恋愛展開は「ございません」。
見事なまでに「ございません」
『FF11』に男女共にヒロインは多々存在します。ジラートのライオンに始まり、プロマシアのプリッシュ、アトルガンのナシュメイラ(五蛇将、ナジャ社長がヒロイン派は……うん)、アルタナのリリゼット、アドゥリンのアシェラ。各ミッションに一人。さらにその脇を固める多数のサブヒロイン達。アルタナ過去編の各国クエストには魅力的な男性の「ヒロイン」も多数登場します。
にも拘らず、主人公、彼女、彼らとに直接的な恋愛イベントは一切無し。あくまで盟友、共感者的な立ち位置、関係性以上に進展しません。
ほのかな……非常にほのかな信頼感から発生する感情は見受けられますが、だから? という立ち位置は変わりません。
まあ、これは、根幹を正せば、プレイヤーキャラの性別が、男、女を選択できることに起因しているのかもしれません。
が。ジェンダーが取り沙汰される現状、性別関係無く恋愛イベントが展開しても文句を言う人は少ないでしょう。
ですが、『FF11』は頑なにそのスタイルを維持し続けています。
結果として、最終的に、非常に希有な物語パターンで構築されたお話が展開していくことになるのです。
つまり、『FF11』というRPGの物語は「恋愛」という非常に強力な武器を完全封印した状態で「面白い」と言われているという事実。
これをスゴイと言わずに何と言いましょうか?
ということで。残念な事にあまり話題にされることはありませんが……『FF11』の物語は、唯一無二の存在なのです。
MMORPGという特異性があるとしても、他に比較出来る様な対象が存在しないのですからどうしょうもありません。
主人公をあくまで傍観者的な立ち位置にすえた展開は、他の作品では早々見かけないですし、体験出来るものではありません。
『FF11』ゲーム本体でしか味わえない独特のRPGストーリー
オンリーワンを維持し続ける事が難しい業界で、現在進行形(最新の『蝕世のエンブリオ』でもその形式美は健在です)でこれが成立していることが、偉大であり、素晴らしいことである。奇跡であると言っても怒られることはないでしょう。
これを楽しむ事ができる現在が、幸せであると再確認して良い案件のハズです。
さて。そんな特徴有る素晴らしい物語も、現在ではフェイスというNPCお助けキャラたちのおかげで、ほぼ全てのミッションがソロプレイでのクリアが可能になっています。
過去に「『FF11』はオフライン版を出すべき」なんて思ったことがある元プレイヤーは、即再インストールして、復帰しましょう。今なら他のプレイヤーに手伝いをお願いする必要も無く、思う存分楽しむ事が可能です。
それでも……ストーリー=全ミッションクリアするまでにかなりの時間がかかりますけどね……。
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傍観者=歴史の観察者として展開する流れは……マイケルム・アコックのエターナル・チャンピオンシリーズや、聖悠紀の超人ロックも最終的にそんなスタイルに落ち着き始めていたかもしれません。
ちなみに、『FF11』にはゲーム外の……小説やアンソロ、その他多数の素晴らしい物語が存在します。こちらは元が無色だからこそ輝く的な増幅幅が楽しめます。
----配信やってます! アレ? これ、すでに呟きじゃないよね……。
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