機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V 報告書

機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V 
written by 高橋良明・王立ゲーム研究部所属

『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズは名作が多く発売されています。特にインパクトが強かったのは初代、無印でしょうか? セガサターン版ですね。1998年発売当時はもう、それこそ、サターンのパワーメモリを大量買いするレベルで、文字通り、死ぬほどプレイしました。今から20年前……ですか。いや~時間の経つのは速い。で。この作品、最初から素晴らしい出来でした。
 そもそも「機動戦士ガンダム」の世界をリアル面から補填して楽しむ……という時流が、既に産まれていたMSV(「プラモ狂四郎」辺りからのムーブメントと、多くの種類のガンプラ、プラモデルを生み出したい大人の事情から発生したっぽい企画)を急激に強化発展させて行きます。
 で。妄想力たくましい大人が知恵を絞って生み出したのが1990年刊行の「MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集」です。これがね。もうスゴイ本でして。今なら電子書籍で購入出来ますから見てもらえば判るんですが。
「機動戦士ガンダム」の世界をリアルと仮定し、それを様々な点から補完していった素晴らしい戦場写真集(設定資料集)です。多分、少々曖昧だった様々な宇宙世紀の歴史年表がまとまり始めたのはこの辺りから。
 それまでMSVの多種多様なメカ群は「見てきたようにガンダムを描き」とまで言われたカトキハジメ氏の描くメンテナンスハッチ付きのマシン等から得られるリアル路線で留まっていたのです。
「MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集」に触発されたのはユーザーだけではありません。「ガンダム」に関わるマルチメディアなスタッフも大いに影響を受けていきます。
 逆に正史の歴史書の様なこの本ですが、発売当初は「これは、この本のみの設定です」という扱いだった覚えがあります。ちょっと先端を突っ走っていたわけですね。これは、別に特別という訳ではなく、ガンダムという作品はビックタイトル故にタイトル毎に設定は分断されて考えられています。それはもう良い悪いではなく、そういうスタイルだったとしか言いようがありません。なので、公式に認定されるまでしばらく時間がかかったため、正道であるサンライズさんの率いるアニメ系の現場に浸透するのはしばらく後になるわけです。
 この初代無印『ギレン』はガンダム世界の年表を追ってイベントが発生していくわけですが、これは歴史系SLGと同じ様に、時間軸からガンダムの世界に細かく迫る、初めての作品となったわけです。そのためではないですが、というか、歴史は一つなワケですから、前述の「MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集」のコンセプトに非常に似ているというか、近しい感じの、イメージムービーやイベントシーンが散見されます。これはもう、雰囲気というか、世界の実証の仕方がもの凄く似ているので仕方ないのですが、正直、こちら側から攻め込んだガンダム原作のゲームはこれが初めてだったのではないでしょうか?
 ガンダムが研究開発される際の、鹵獲したザクを分解して挙動を確認するなんていうムービー等はこの後のシリーズでかなり使い回されることになるので見たことがある人も多いかと思います。
 そんな初代『ギレンの野望』ですが。残念ですが、現状、現在も生き残っている(製造保障されている)マシンではプレイ出来ません。セガサターン……確か3台ほど所持してますが、引っ越し時のダンボール箱に入ったまま十数年が経過しております。電源を入れれば……作動する……かなぁ。
初代以降の流れ(WS版を除く)
2000年2月    機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜
2000年6月    機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜 攻略指令書
2002年5月    機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記
2003年2月    機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記 攻略指令書
2008年2月    機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威
2009年2月    機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V
2011年8月    機動戦士ガンダム 新ギレンの野望
 さて、その名作をリメイクして、若干こねくり回して完成したのがPS版の『ギレンの野望 ジオンの系譜』となります。
 評判のよかったSS版を大きく変更したシステムは賛否ありましたが、最終的には受け入れられ、続編に続く事になります。というか、一個飛ばしで「アクシズの脅威」に生かされることになります。
 さて、PS系の二作目に当たるのが『ジオン独立戦争記』です。これについては賛否両論あるのでスルーしちゃおうかなーと思っていたのですが、なんか担当編集者がパソコンのフォルダを色々調べていたら、昔、ガンダムを知らない女の子にいきなりこの作品をプレイさせてみる……という記事を作った時の元原稿が発掘されました。笑。本人の了解も取れたので、そのまま掲載しましょう。ちなみに雑誌に掲載された原稿はここからかなりシェイプアップしているのでイロイロと違ってるそうです。
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■土曜日:寝ていたところを電話で招集をかけられる。「きみにぴったりの仕事だと思うんだけど」。マァ、まじですか? 私にぴったりと言うことは、これはかなりの確率で恋愛SLG とみた! 私はかなりウキウキして、起きてからちょうど3時間経ったくらいの、脳のテンションが危なげな状態で会社に到着した。

●彼女は当時新人の女子ゲームライターさんで、恋愛SLGを得意とする、まあ、ある意味普通の女子ゲーマーでした。どう考えても「ガンダム」は知らないという予想から、この御仕事をお願いしました。

■「じゃあ、そこにある説明書、読んでてもらえますか」。そこにあった説明書とは『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記』。ギレン! ジオン! 私は恐る恐る説明書を開き、目を通し始めた。戦闘シミュレーション、戦略シミュレーション、戦術シミュレーション? なんとなく、なんとなくやることはわかった。わかったような気がする。「とりあえず、やってもらえますか。ガンダム知らないと思いますが、よろしく」。やっぱりガンダム!? ていうかそれ以前にわからないことバレてた? 説明書まじめに読んでたふりしてたのバレてた? すみません! 私ガンダムマジ知らないっす!! 友達にもらったガチャガチャのドムってロボット(?)、ドムっていう人が入ってるんだと思ってました。10年前!! と、私は心の中で何度も謝りながら、実際内容をちっとも理解できていなかった説明書を握りしめ、DVD-ROMをPS2の中に入れました。データが空のメモリーカードが、私を象徴しているようでドキドキ!
 説明書は、私が読んでも到底理解できる物ではなかったので、とりあえず行き当たりばったりプレイ開始。「わからないところはメモを取りながら」と指定を受けたが、全部メモしていたらゲームをスタートするのに何時間かかるかわからない! これはジョークでも何でもないぞ…。とりあえずノートには「何もかもがわからない」と弱々しい筆圧で一言書いてから、序章をスタートさせる。
 …いましゃべっているのは誰? この人がジオン? 顔色悪い人は本当に仲間? コロニーを落とすってどういうこと? GGって何? MSって何? HLVって(略)。延々と疑問ばかりが脳を支配し、様々な単語が頭を素通りしていく。理解する隙間などない。ゲームは始まっているのに私は何をすればいいのだろうか? 何もかもを置いてきぼりで進行してしまっている。ゲーム中の、至る所で「リファレンス」が登場するが、それがヘルプのようなものであるということしか未だ理解することが出来なかった。その上何の説明をしているヘルプなのかがわからない。
 序章はもう何が何だかすべて理解できないうちに終わっていた。とりあえず宇宙を舞台に親子が頑張って戦争をしているのだということはわかった。が、多分勝っていただろう私の軍は何軍だったのか? なぜ勝つことが出来たのか? いまだ私の頭の中は真っ白だ。このまま進めていって、いつか理解することが出来るのだろうか? 不安な気持ちのまま○ボタンを押し続けていたら、本編「ジオン公国編」に進んでいた! 本編も序章と変わらず、新しいコマンド選択時には「リファレンス」が登場する。これは実際のところ、便利なのかどうか判断しかねた。書いてある説明は難しくないのだが、ゲームのシステムを教えてもらう以前に、ガンダム用語や世界観の説明が私には必要なのだった。ガンダムがロボットだということしかわからない私は、いまだにこのゲームのタイトルの意味がわからない。ガンダムレベルのない私に「リファレンス」はさっぱり優しくなく、心細ささえ感じていた。
●ガンダム知らなければ……まあ、そうですよね。カタカナと英単語の組み合わせって、知ってる人にしか通じない表現ですからね。これ、ここまで来て、やっとプレイスタートです。笑。彼女の不安が全て、凝縮されています。
■しかし本編からは、ゲーム進行がすべてプレイヤーにゆだねられたため、序章に比べ少しずつだがゲーム内容を理解することが出来た。まずは国内を調整すると言うこと。情報、軍事、生産、開発、政策、作戦、機能と用意されたコマンド内で、「コスト」を消費しながら国を発展させていく。この仕組みは難しくない。普通のSLG と考えればよいのだ。しかし何が目的で、何を目指して国を編成していかなければならないのか、それがいつまでたっても全く見えてこないのが問題だった。気付けばひたすら同じことの繰り返しで、ターンは20、30と数ばかりを重ねていくのみである。その中でまず一番最初にどうにかせねばと思い立ったのが2枚の地図の関係を理解するということだった。
 行動設定フェイズ中に、△ボタンを押すことで2種類の地図を広げることができるのだが、この2枚の地図の相互関係がはじめ全くわからなかった。地図は地上地図と、地球上空の宇宙地図と2枚ある。例えば地上の地名の表記には「オデッサ」とあるのだが、宇宙地図には明記されてあるべき「オデッサ上空」という名前がないのだ。
 しかしそれをふまえた地図の見方を理解したところで、一気に私の頭の中は爽快に! 地図がわかれば現在の戦況がわかる。自軍・敵軍の位置はもちろん、どの軍が大気圏内突入可能か一発で判断できたし、地図上にそびえる棒の太さや長さで戦力も把握できた。「緑色の陸地が表示されないほうの地図の、中心の青い円は、地球上空ですよ」、どこかにこの説明があれば、20ターンをひたすら国内情勢の把握にあてなかったのにと思うと、多少痛ましいが愉快だ。この時点でこのゲームの仕組みを理解できた気がした。
●まあ、そうですね。そんな説明無いですからね。というか、既に一般のプレイヤーは「ギレン脳」になっていたのでしょう。
■しかし地図の見方がわかっても、国内の調整に明け暮れる作戦、この繰り返しは単調で苦しかった。初期に作戦の中で設定されていた「オデッサ攻略」以降たまに攻め込まれた戦には適度に対応しつつ、ただただ「コスト」を消費するだけのコマンド実行を繰り返していた。操作は、難しくないがゆえに安穏とした時間が過ぎ、特に目立った展開もなく、いつの間にかターン数は60にさしかかろうとしていた。地上で赤い棒が立っているのはオデッサひとつ。周りでギレンをプレイしている人たちの様子を知らなかった私は「よくぞここまで進んでくれた」と自己賞賛し、その日のプレイを終了させた。
●うん。思い切りイロイロとやられっぱなしですが、それすら気付いてないので問題ありません。このシリーズは難易度お高めなのですが、最短ターン数で攻略とか、自ら縛りを加えなければ、実はそう簡単にゲームオーバーにもならないという。
■日曜日:今日は戦闘フェイズ前に設定する、策略コマンド内の「指示」のためだけに前線へ。説明書に説明はあったが、なかなかゲーム中に出てこない画面があるなあと開始から3時間ほど経ったころから、うすうす思ってはいたのだ。まあ実際知っていて避けてたんだと思うが。最大の難関にして、ここがミソであると。
 戦闘中の策略選択コマンドにて、「指示」を選択する。そうすることで、戦闘中に細かい指示を出すことができ、これこそ正しい戦術SLG、というところであるらしい。説明書に説明されている通り、「指示」コマンドを選択し先へ進んでみた。すると、目覚ましく画面が華やかに(前日比)。地上戦であったため、地図の上に山があって海があって目に優しい。我がジオン軍は赤戦隊であるため、地図上一目でどこにいるのかわかったのだが(あ、赤だけ?? 何と戦うの? 目的はなんだっけ、攻撃? 防衛? どこへ行けばいいの? 地図上に、肝心の敵を見つけることが出来なかったのだ。戦なのに敵がいないとは!? しかし全体地図を呼び出し、青戦隊を探すとそれはもう当然のようにいる。だが実際、戦闘画面のその場所にあるのは山だ。海の上に山色が。敵は山色であった! しかしこれで標的が判明したので、コマンドを呼び出しつつ敵方向へ移動。かなり距離があったがすぐに近接し、本格的に戦闘開始。私は今まで、作戦内の「委任」を選択したことがなく、すべて「攻撃」で戦っていた。私なりの見解によれば「攻撃」はただただ攻撃をくり返す少々頭の悪いオートバトル。それでも負けることはなかった(今までは)。それが「もともとの戦力が強いのだろう」と誤解するもとでもあった。まさに誤った解釈である。
 へこへこと移動しながら、隣接した影のような戦隊へ攻撃目標を定める。元来の性格からか、敵戦隊一機を可能なだけ赤戦隊で取り囲み、集中線のごとくひどい攻撃を浴びせる。鬼畜にもこれが面白い。面白くて仕方がない。昨日の我を忘れニヤニヤしてしまうく
らい面白い! 何が一番面白いかというと、今まで行っていた生産や内政とは違い、いま自分が行っていることが明らかなビジュアルで見えるということと、自分で戦争を動かしているという実感がやはり「攻撃」とだけ指定して見ているだけ、とは比べるまでもナイ!
 これぞSLGである、感嘆!! なるほど、昨日までの細々とした作業は、この日のためであった。今気付いた。ゲームプレイ開始よりはや60ターン。早いのか遅いのかわからないが、感動には変わらない。強いかどうかはもはや関係ないのだ!! 強くないから!!
 …そう、我がジオン軍は弱い。敵はそこそこ倒せているようだ、と思っていたが、いつの間にか赤組は減少しており、敗北という結果に終わった。これは仕方ないのだろうか? どうすれば強くなれるのだろう。思い当たる節としては、ただひとつ「知識がない」ということなのだが…。必要な知識は、”どの兵器に誰を乗せればよいのか”。またそれに関わる”戦闘に有利な兵器の開発・生産”、そして勝つための”どの兵器で敵に攻撃をするのが有効か”という3つ。これはデータを熟読しなければ、うまくゲームをプレイしていく、と言う点で難しい。ガンダムを知らないということは、やはり不利なことには違いないというのですか!! バンダイさん!!
●うん。ごめん。放置して。なんていうか、60ターン目でその辺を理解っていうのがもう、なんていうか、泣ける。赤いのと青いのがぶつかり合うだけの戦闘じゃね。悲しいよね。何してるのか良く判らないし。
■ガンダムを知らないということで、まだ不利なことがある。攻撃実行フェイズで、戦闘中の人物の会話が頻繁に出るのだが、それがもう誰なのかさっぱりなのだ。敵か味方か、誰に話しかけているのか! しかも皆さん匿名での発言とは! せめて会話部分にでも名前の表記はしていただきたかったところである。
 そして攻撃シーンにはムービーが流れるようになる。なるほど、昨日までのゲームプレイ中には出てこなかった華やかな演出シーンだ(地味だけど)。しかし私が見ても、内容をつかむことのできるムービーではなかった。どのロボットが味方なのか、足並みそろった走行は軍隊だからか、艦隊への攻撃に斧で斬りつけるというのは公式設定なのか、レーザー攻撃を仁王立ちで受け止めるのは装甲に自信があるのか。多分突っ込んではいけないところだとは思う。しかし面白いことには変わりない。ただ、毎回はこれは無駄に長いかもしれないなぁとも思った。これは飛ばすことは出来ないのか? と思いつつ眺めていた(飽きてた)。
●そりゃ飽きますね。戦闘ムービー、全部見ないって選択だけでしたっけ? 部分部分でONOFFできませんでしたっけ? あれ?
■で。本日「指示」コマンドプレイをしてから、今さらながら「勝ちたいなぁ…!」という願望がめきめきとわいてきていた。最初はさっぱりであったゲームの進行も、ここをこうすれば勝てたんじゃないか? というところから可能性を見つけてしまった。やばい、危険だガンダム!! 何が何でも知りたくなるじゃないか、ジオンが誰なのか(あ、ネタです)!! 話は変わって、今日、ちょっとショックだったのが、「このゲームにはストーリーがあるんだよ」と言われたこと。私、今74ターンなんですが、初めて知りましたよ!?
 また、無心でプレイしていると、そばで見ていた人が「何編をやってるの?」と訪ねてきた。私は相当頭が混乱し、思考回路を(ギオン……ギオン…!)という言葉が駆け巡ったが、ぎりぎりのところで「ギ、ギレン?」と答えることが出来た。少し成長したと思った。正しくは「ジオン公国編なのよ」ですね!  というとこで、本日終了! ターンは進むが戦況むしろ悪化です総帥! ジーク・自分!
●なんていうか、ここまで葛藤しているとは気付いていなく。メモ取りながら、プレイしてたので安心してたというか。
■月曜日:私は「ガンダム」を求めていた。手紙に「ガンダム」、髪型も「ガンダム」、両親は「ガンダム」、そして「ガンダム、ガンダム」言いながらビデオショップへ走っていた! ビデオショップにて、「ガンダム」のビデオの数はもうすごい。どれが本物なのかわからない。多分並んでいる頭の方が、「純・ガンダム」とみてよいのだろう、私は一応3本持ってレジへ向かった。当日返却で申し訳ないです。「第1話 ガンダム大地に立つ!! 」:「ファーストガンダム」とよばれる原作は、全部で43話であった。私はもちろんすべてに感想をそれはもう詳しく書きたいと思っているのだがなにぶん文字量が(規制)。正直なところ、「ガンダム」は以前から見たいとは思っていた。しかしその膨大な量におののき、踏み切る機会がなかったというのが実情である。
●さすがにTV版を全部見ろ……と命令するのはためらわれたので、興味があったら見ても良いと思うよ……くらいは言ったかな? うん。
■イッキに第1話から6話までを見終わる。もちろん最初から理解できるとは思っていなかったですよ……しかしこれほどまでとは!? 私がびっくりだ! 出てくる単語のひとつひとつ、さっぱりわかりませんですよ! うんうん、ほう、え!? いまの言葉わかんないヨ!? そのくり返し。聞きなれない言葉が出てきたと思ってもテレビの中ではアムロ急展開。大変な状況になってるアムロ、だけど私の頭の中も大変。ホワイトベース? モビルスーツ? フランボ? ザクのエンジンを狙わないとサイド7の空気が流出? それって危険なんですか!? 教えてアムロ、字幕が欲しいよ!!
 また、謎は言葉だけではない。例えばオープニングの歌詞、「よみがえるガンダム」に隠された謎とは? 私は宇宙戦艦のヤマトのように、海に沈んで古代の遺跡のようであったのかと予想しますが、そこんとこどうですか? その後に何度も展開されるザクとの戦いを見ても、ここまで力(性能?)の差が歴然でよいのであろうか? だって戦艦並のビーム砲、出していいの!? しかもハロは人工知能なの!? 絶対謎はある…! 新兵器だから、なんてジオンが認めないぞ! これから注目すべきは、人と人の関わりあいといったところ。あと関係ないところで印象的だったのが、ジオン軍の兵はドリモグ部隊であったこと……すみませんドレンさん!!
●フランボンはクプクプ笑ったよ……じゃない。謎無いしな。まあ、蘇れってどういうことだろう。そういえば。立ち上がれはともかく。昔ガンダムって人がいてね? っていう伝説の勇者だったのだろうか。さらに、純粋に、戦争物の映画とかの知識も無いですからね。当然。この当時も若い人たちは。大変でしたね。まあ、ドレンさんは確かに「ドリモグだぁ!」ではあります。
■そんな感じでガンダムファンの方の怒りを買うような姿勢で原作を見てしまったような気がする。だが原作の中でも誰も、言葉や世界観や状況などの説明してくれないので、やはり流れでなんとか見られるようになるしかないのだ。だって本来いたはずのガンダムのパイロット、1話目にして亡くなっているなんて、どうしてわかりますか? あと37話、先は長いがとりあえず桃の彗星シャアの顔は描けるようになっただけでも成長はしているネ! と言ってください。
 そして本日も戦況確認のため前線へ。我が軍のデータを見返してみると、そこにははっきりとシャアが未搭乗となっていた。そのマスクの裏側の目に軽く戦慄を覚える。とりあえず、なぜか開発済みであったシャア専用ピンクザクの生産願いを出し、無事に彼をそこに搭乗させ、ほっとしたところでその日のプレイは終了となった(早っ)。
●うん。その通り。ガンダムの裏側を当たり前の様に理解している人たちがね、多すぎるのね。きっと。衝撃の事実が、シャアを温存。ある意味スゴイ。
■火曜日:早朝、借りている分の第7話から11話を見る。注目していた人と人との関わりあいが、さらに目に見えるようになってきた。カイの言動は鮮やかで気になるし、ガルマとイセリナの互いを求めあう想いや、マチルダの瞳の強さ、シャアの仮面の裏の明かされない真意、アムロの母の記憶、戦うことへの迷い。戦いの中でもやはり人間は人間として、生きているということは変わらなくて、強さだけではダメなのだ。幸運なことに、まだ返却の時間まで間があったので、1話から6話までを見返してみることにした。それはもう自分の頭に驚いてしまうほど、すんなりと理解することが出来た! もちろん全てとはいかないが、う~ん、これほどまで見方が変わるとは。例えば知らない国へ旅に行ったあと、その国について学び、ふたたびそこを訪れた時の目の覚め方である、素晴らしい! やはりそこの空気を吸ってみなければ、見えるものも見えないのだ。特に序盤の序盤など、アムロとフラウがどこからどこへ移動して何をしようとしているのか、今にしてやっとわかったという次第なのだ。モクバがホワイトベースを指していたということも。もちろん謎は多いままである。地球上での勢力関係、連邦軍の真意、ザビ家の人間関係、そして何よりガンダムの強さ!!やはり納得いきませんぞ! 水陸空宇宙可? つかみ技メイン? 何でもありなんですかテム父さーん!!
●ガンダム強いよね。うん。で、何でも同じモノを二回三回と繰り返すと、確実に何かを掴むことができます。これは確実。
■「当日返却」という無茶な借り方をしたため、開店前に返却ボックスに入れなければならない。ビデオショップへ行き、ギリギリのところで返却する。なぜ自分がこのような借り方をしたのかも「ガンダム」の謎のひとつとなった。あと80円×3本分払えば一週間レンタルであったのだが、240 円を渋った理由とは何だったのであろう、という話である。残りの全ての巻を一週間借りることにし、小脇に抱え家路についた。第12話から32話、途中インターバルを入れながら翌朝まで、実に「ガンダム」一色であった。地味な1人一週間戦争の佳境である。
●一週間戦争。上手いこと言った。
■そして20話分を見たわけであるが、これまで感じていた人と人との関わりに加え、キャラが、1人の確立した人間だということを強く私に訴えかけてくるようになった。戦争と言うのはただのきっかけでしかなく、リアルにむき出しにされた感情が痛さを感じさせる。戦争という破壊の中でも、それだけでは人間は生きていけないと言ったマチルダの言葉が、「ガンダム」の中における人間の位置を表している気がした。作品中にはそれはもう私などが把握できないほどの人が登場する。その一人ひとりが、互いに関わりあい、わかりあうことの困難さを覚えながら、この一年戦争の中で確かに生きているのだ。前にも述べたが、「ガンダム」という作品の中で、世界や言葉を説明している箇所は少ない。それは視聴者を突き放しているともとれるし、とても不親切なことだと思う。しかし現在、今まで私の知らなかった世界の中で「ガンダム」を愛し、心の中にとどめている人が多いということは書くまでもないことである。それだけの人たちが「ガンダム」という作品を理解したいと願ってきたのだ、ということを考えると、とても幸せな作品なのだと思うと同時に、やはり奥が深い…と胸が熱くなる。
●何もそこまで深く考えなくても……とも思うけど、考えちゃったんだから仕方ない。でも、こうい文章はゲームプレイと本気で関係ないので、大抵カットされてしまう。悲しい。でも頁が、スペースがね。ギリギリだからね。
■水曜日:第33話から最終話までを見る。さまざまなところですごい勢い…。戦争をしている人間として戦争という枠を乗り越えてしまった、わかりにくく言うとそういう感じであった。ここまで幅広く壮大な話になるとは、予想もつかない事態に大慌てである。とりあえず、一回見ただけではまずわからない。ララァが電波を発し、アムロがあれよあれよと幻覚作用に陥る。というひどく誤った解釈を招きかねないので。いえ招きませんでしたが。「ガンダム」の後半、そして「ガンダム」を理解しようとしたら、必ず考えなければならないのが、ニュータイプの存在ですか。ニュータイプは、望まれてその存在を示したのだと思う。しかし特別なものでは決してなかったはずだ。少し考えてみると、ニュータイプは生きている人間そのものでしかないのだから。観賞後は、正直あまりすっきりとした気持ちではなかった。だが難しく考えることもなかった。2度目に見たらまた違うことを思うだろうし、3度目にして新たな発見もあるかもしれない。ただ一度見て終えてしまうには、とても惜しい作品だと感じた。たくさんの人に愛され続けている理由も、ちょっとわかった気がした。
●よかった。
■木曜日:しかし原作のアニメを見終えたからと言って、すべてを理解したということではないのだ。そして…悲しいことに、それはばっちりゲームプレイに反映してしまっていたのだった…。
 まずは原作を見たという祝杯もかねて、ゲームプレイの目的を決めようと思った。先日戦闘中にキャラ同士が会話しているのを見たことを思いだし、「これはイイ!」とまずひとつを「シャアとアムロが出会うこと」とした。もうひとつは「勝てないけど負けないこと」に決定。何はなくともまずはアムロを見つけなければなるまい。アムロがどこにいるのかわかればいいのだが、我がジオン軍が確認できる連邦軍の情報と言ったら、マァ、軍情報とエリアと兵器だけ! アムロどこ!? 無敵ガンダムは!? ていうか敵どこすか!? これはムボウな挑戦ですか総帥。
●巡りあり宇宙ってことで、そういう自分縛りはもう少し慣れてからの方がいいと思うんだけど……うーん。どうなんでしょうね。
■手の施しようがないので、とりあえず攻め込んでから考えることにする。オデッサ攻略後、作戦発動はことごとく失敗しているので、北アメリカ上空、アフリカ上空ともに誰もいない状態である。そして調査すらしていないと。まあ焦らず建設的に進めていこう。まずはシャアのいるドズル軍団を北アメリカ上空へ、ついでにアフリカ上空をギレン総帥に任せることにする。ドズル軍団をソロモン、ギレン総帥をア・バオア・クーへと移動。そして「情報」内の、とりあえずは部下提案を開いてみた。すると!! 「モクバ」の調査をしたいという提案があるではないか! 思わずニヤリ。そうか、なるほど、未確認兵器の調査は今まで行ったことがなかったな。ということで他にも「シロイヤツ」が怪しそうだったので依頼を出した。生産の方で青ザクを見つけたので、こちらも依頼。ザクを全色揃えるのが夢である(何色あるか知らないけど)。そして次ターン、見事に「シロイヤツ」=ガンダムと判明!! 「モクバ」はペガサス級揚陸艦であった。がっかり。しかしこの敵兵器調査は面白い!! 次は「カオツキ」を依頼する。マッドアングラーのような顔だろうか。開発の方をのぞいてみると、部下提案に「ピンクザクの推力強化」:シャア。恐い。すみません。もちろん受理します。とりあえず内容にかかわらず、シャアとガルマの言うことは聞いておこうと思う。理由はない。あとランバ・ラル。ギレンは負傷で席を外しがちなので、あまり提案を見かけないのが少し寂しい。労働させてごめんネ☆ それにしても、部下提案を受理したあと、どのような内容であったのかを確認するところはないのだろうか。調査が終わり、見事に敵の姿が現れたので、突撃させることに。ところがアフリカ上空へ向かうルートが、ルートが!? ソロモンから出てこないのですが総帥! これは仕様ですか!?
 大変遅まきながら、私はここで「地形対応」の謎を解明することとなる。まず問題があるとしたら兵器なのだ。私はドズル艦隊に、余っているHLVやマゼラアタック等を頑張って配備していた。その際の、兵器説明ももちろん読んでいた、「配備を行った軍隊は、移動や打上等が使用できやすくなります」と。え!! 間違ってる!? 「…できやすく」→「…できなく」だったよ…正反対!! そして次ターン、北アメリカ上空へのルートは無事開けたのであった。「カオツキ」の調査結果は、ジムキャノンIRW であった。というかこういうことに大量のコストを使っていいのだろうか。未だに全体での有効なコストの使い方がわからない。
●うん。逆にイロイロと知識を仕入れてしまったが故に、迷走するパターンっていうのもあるんだなと思うのでした。
■そして戦闘開幕! 当然「指示」で。そして行動設定フェイズにてたまに出てくる使ったことのない「索敵」。「素敵」と普通に間違えたそれを、アムロ探索用として使う。いまいち使用方法がわからなかったが、多分隣接した敵兵器に対して使えるのであろうと思う。ちまちまと移動しながら(いやそれがもうびっくりするくらい移動範囲が狭いのだ)、敵兵器へ横付けし、索敵のみを行うといういわば攻撃されるために存在するような中、はい、シャア攻撃されました。1回の戦闘ターンの中でシャア負傷。これはもう本当に申し訳が立たないです…。しかも負傷者の数は、やはりその1回の戦闘ターンで2ページにも及んだ!! これは、「索敵」の使用法を考えなければならないようだ…。そしてさらにショックなことに、次ターンにてオデッサを略奪されました!! いまだに戦闘、どのようにしたら勝てるのかわかりません。ああ、助けてアムロ!! いやむしろやめてアムロ!! どこにいるんですかー!?
●周りに人いるんだから、誰か教えてやれよ……という気がもの凄くする展開に。でも、マジメにプレイしてたからなぁ。そんなことになってるなんて判らなかったんだよなぁ。
■金曜日:うん、まあまあ、ひと休みひと休み。落ち着いてジオン軍のみんな! オデッサは取り返してあげるよ! ということであっという間に北アメリカ・アフリカ上空攻略作戦は失敗した(目的は索敵だったし攻略する気が無かったとも言える…)。しかしオデッサはそうはいかない。記憶にないにしろ、一度はこの手の中にあったのだから。そう、記憶にないのだ。忘れたとかではなく、たぶん特に何もしないうちに落とすことができたのだろう。最初は強かったのだなぁ…。そしてまた、いまさら新発見。HLV への兵器の搭載! なるほど、これで突入ができるわけですね(遅)。負傷していたシャアもドズル軍団も復帰したため、第2軍団から第5軍団までの全4軍団のうち、勝つことを考えてドズル軍団のみ「指示」とし、オデッサへ降下した。アムロ探しをしながらシャア機で移動していると、突然思いがけない会話が始まった。相手はランバ・ラルであった。そうか…会話は仲間とのものが主であったか。ガルマ!! 今この前線にガルマはいるか?
「坊やだからさ」って言わせたいヨ!! と思っていたところに攻撃を受ける!! シャア再び散る!! ウソ!? シャアは索敵してただけなのに!! ピンクはやっぱり目立つんだ! これは文字通り死活問題だよ、シャア!
 次ターン、シャアの仇を(会話で)討つべく、ガルマ軍団を前線へ投入。狙いはドズル!! まぁ、気付けば前ターンの戦いの中、会話のありそうなキシリアもランバ・ラルも散っていったのであった。ドズルしかいなかったと。いえそういうわけではありません。計画通りです。そして他の相手がいるわけでもなく、索敵対象を探し移動しているうちに、防衛拠点という場所に辿り着いた。そこには新しいコマンドがあった!「制圧」、ガルマがこれを選択しない理由はない! 大きめの六角形は、青から赤に変わりジオン軍の拠点となった。ということでいいのだろうか。これがはじめての制圧であった。
 近場にいた軍団を、全て投入したのが幸いしたのか、7ターンで勝利。いや、時間がかかったのは最後の2機が逃げ回っていたからで…。そしてその間に、狙われていたソロモンも無事防衛に成功した! 現在87ターン。しかしアムロ探索のめどは立っていない。そしてその次のターン、グラナダが襲われる!! グラナダに配置していた隊は…、しまった、もしかして休暇中だった?? 意味ないよ、防衛作戦以前の問題だ! そしてこれが、我がジオン軍全体を巻き込んだ戦いの引き金になろうとは、この時(私は)想像もしていなかったのである。90ターン目、恐ろしい光景を目の当たりにする。グラナダから青く太い矢印が、誰もいないサイド3へ伸びていたのだ!! サイド3…? もしや! 私は予想が外れることを祈りつつ、リファレンスに聞いてみた。「サイド3は、取られたら終わりだよ」。ウソー!!
やっぱり! 連邦軍に負けるわけにはいかない! 私はザビ家を倒すんだから(違)! とりあえず、なんとなく人類の未来を守るため(?)、私はこの一週間で蓄えた知識を集結させた。それは「ちゃんと兵器に人が乗っていて、しかも軍団を大量投入すればまず負けない!」というものであった。おかしいと思うが間違ってはいない。大事。というか勝つために手段を選べなくてごめんなさい。
 まずサイド3に移動しなければならない。しかし現状を見ると、5つの軍団がオデッサ、しかも地上に…! しかし幸運なことに、ア・バオア・クーに3つの軍団が待機していたので、これらを先発としてそのままサイド3へ。オデッサの5軍団は打上を行う。しかしコストの関係上、ガルマには残ってもらうことになってしまった。上から順番に打ち上げたら、ほら…すみません。そしてサイド3は既に軽く攻め込まれていた。ああ、どうにか戦闘1回分の7ターンはもってくれ…!
 92ターン目、ソロモンに待機していた2つの軍団と、壊滅したまま放っておいたギレン軍団を後発3軍団としてサイド3へ向かわせる。そして総11軍団がサイド3へ集結したのは、攻め込まれて3ターン目のことであった。その時にはサイド3の防衛拠点はほぼ討ち取られ、ア・バオア・クーから向かっていた3つの先発軍団も散り散りに破れ去っていた。しかしその危機を救ったのは、その後各地から集結した8つもの軍団の兵士であった!! 私は涙ぐんでいた。誰も守るもののいなかったサイド3へ侵入されたときの絶望から、あきらめなければ守ることが出来るのだということ。そして戦争という非情な世界の中で、ランバ・ラルさん(青い巨星)がさんぜんと輝いていたことを、私は忘れないだろう。
 こういった感じで、私の「ガンダム」一週間戦争は幕を閉じました。目的として掲げた「シャアとアムロとの出会い」はどこにいったのか? いや、すみません、私が聞きたいです。実はこの「敵方の人物を探して会話するにはどうしたらいいのか」という疑問を他のライターさんに問いつめたところ、戦闘中に索敵をして次ターンの「情報」で敵の兵器を調査してまた次の戦闘中にその兵器を見つけて…と、完全に私の脳の許容量を超えていたのでした。しかし往生際悪くゲームプレイは地味に継続中です。私はこのような屈折した遊び方をしておりますが、全国の多くの『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記』ライフに幸あらんことを願っております。かしこ。
●激熱。というか、なんでそこまで熱いことになったのかというくらい激熱。慣れてきてしまうと絶対にありえない展開なだけに、どうすんだこれ……と思いつつも、多分自分ならさっさとリセットしているであろう、つまらなさに気がつく。嫌な大人になっちまったなぁ……と。
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 ああ、面白かった。長かったですか? いやいや、まあ、いいじゃないですか。ネットは文字量の制限が無いわけで。うん。ついね。笑。
 で。さて。やっと本題です。今回紹介する、『ジオンの系譜 アクシズの脅威V』は、『ジオン独立戦争記』ではなく、その前の『ジオンの系譜』をパワーアップさせていったシリーズ内でも、集大成的な作品です。ぶっちゃけこれもそこそこ賛否あるんですが~それはね。もうね、どんな作品でもあるわけで。PSP版がバッチリ発売されたおかげで、現在アーカイブス化されている点が良かったと思っています。
 現状、PSPとPS3でPSアーカイブス、ダウンロードソフトとして激安で購入出来ますし、PSP版を落とせば、Vitaでもプレイ可能。この大作をお安く気軽に遊べてしまう。
 良い世の中になったものです。
 取りあえず、ゲームスタート。勢力と難易度を選ぶ訳ですが、ここが、異常に大切です。
 連邦軍とジオン軍。TV版原作アニメを見ていれば判る通り、主人公アムロ・レイは連邦軍に所属し、才能頼みの素人上がりのクセに熟練軍人かの様な戦績を上げ、戦場をくぐり抜け、生き抜いて行きます。と、ここまでだと正義、正統派は連邦軍、ジオン軍は悪……とレッテルを貼り付けられそうですが、当然、真実は異なります。
 真実て。アニメで。ええ、ええ、ですよね。どこまで行ってもフィクションはフィクションでしかない訳ですし、ごっこ遊びに過ぎないのです。ですが。ガンプラで育った筋金入りのオタクたちのパワーを舐めてもらっては困ります。
 さらに言えば。えーと。戦略系SLGは序盤のプレイが一番面白いのは確実です。ちゅーかね、中盤以降は力押しか、だれるか、まあ、どっちにしろルーチンワークになるのはどうしょうもないです。『アクシズの脅威V』の場合、各種条件で発生するイベントを起こして、MSをゲットしたりできるので、そこまでやることがない……なんてことは無いんですが。それでも、中だるみは当然するし、プレイ次第ではもう、力押し一辺倒になるというか。
 ある程度安定してきたら、連邦ならガンダムを量産して、ガンダム部隊で攻めるのが早いし、簡単だし、ジオン軍ならドムかなぁ。ザクの後期タイプも有効っていうね。うん。
 でと。とりあえず、手っ取り早くこの作品の魅力をということで、今回は連邦プレイを選びます。難易度はノーマルで。これで5ターン目まで敵は攻め込んできません。どんなに隙があっても。なので、極端な戦力の移動等を行っても大丈夫。6ターン目になると、もしも敵と隣接しているのに0ユニットだったら、即攻め込まれてしまうので、注意。さらに、ハードモードだと3ターンまで、それ以上の難しさだと、2ターンまで攻めて来ません。
 正直、その他の要素も合わせて考えた場合、ノーマルが一番、バランスが良いように感じるのですが~まあ、上級者は物足りないでしょうから、ドンドン難易度を上げて結構です。
 連邦でスタートしたら、すぐにやるのは、V作戦の発動。いや、これはもう、即選択です。これが無ければ意味がないくらいの勢いでどうぞ。
 このV作戦を発動させると、次々に、見慣れたMS、機体の提案が始まります。それも、もう、最優先でOK。資金二倍投入もOK。とにかく急ぎます。
 V作戦を発動したら、あとはもう、何も出来ることはない……のですが、V作戦で最終的にガンダムが完成するには、13ターンかかるので、そこまで耐えなければなりません。さらに、完成するのが13ターンというだけなので、その後、量産して実戦配備するとなると、さらに数ターンかかります。
 連邦軍はそれまでをどうやってしのぐのか、どうやって、ある程度有利な立場で新兵器を導くのか。これがもう、楽しいわけです。
 前述の様に、5ターン目まではこちらのやり放題ですから、もう、攻め込み続けます。地上は、オーストラリアから全軍で上へ。インドは中国へ。そして、北京に雪崩れ込みます。
 戦線を膠着させてこちらがユニットを集中させると、敵もそれに追従するかのように大部隊を集め始めて、そのうち攻め込んでくるので、隣接している場所では、常に戦闘を仕掛けていくようにします。
 ジャブローから北アメリカ方向へ、ヨーロッパでもロシアとか、上の方とかへ。宇宙は、マゼランとトリアエーズを軸に……ってトリアエーズを盾にして、マゼランで艦砲射撃。集中させればいけます。
 ネットで攻略サイトを調べると、北京は3ターン目で落とせ……って書いてあったりしますけど、それはもう、よほど運が良くなければ無理。ぶっちゃけ、インド周辺の既存部隊と、インドで一番最初に生産したフライマンタ×8で攻め込んだ場合、それだけで勝てる可能性は……うーん。20%くらいですかね? で。これの決着がどうにかなるのが、さらに次のターンでフライマンタ部隊が突っ込んできてくれて……やっと。かな。ここまではもう、力押しです。運が悪ければ(増援とか的確にやってくれば)、5ターン目……でしょうか。
 で。北京を落とした後は、そのまま、ハワイに突入です。こちらには、潜水艦にレビル将軍でも乗せて、ジャブローから運ばれてきた初期生産分の新型もここに投入です。トリントンではデブロック、Sフィッシュを作っておきたいところ。デブロックさんは、水中&遠距離(近接しないで攻撃出来る)攻撃が出来るのが大きいのです。本当ならガンダンクとかがいいんですけど……多分、既にお金とか資材とかがヤバイ感じになってるんじゃないかと思います。
 遠距離攻撃、まあ、敵ユニットに近接せずに攻撃できるユニットは非常に優秀です。ボールさんとかザコのようでそうでもないです。トリアエーズに守らせて、チマチマと逃げながら撃ち続ければ、結構敵を削れたりします。戦艦とか大きなモノは資金も資材も大きいので、それを失わないように注意しながら戦うのも大切でしょう。
 さて。待望のガンダムなんですが。最初に手に入るのはプロトタイプガンダムです。これ、ガンダム来た! とかつる! と思ってしまうと、ガッカリです。性能はね、いいんですけどね。1機ではどうにもなりません。ですが。10ターン目くらいでは最強ユニットなのは間違いないので、戦場に突っ込ませたいんですけど……そう簡単にはいきません。
 問題は、ガンタンク、ガンキャノンが水中で戦えないということ。ちょうどねーハワイ攻略なんですよねぇ。敵のマリンザクとか潜水艦に対する、決定的な切り札が無い。ガンダム2機とPガンダム1機でスタックして……とか最強なんですが。
 まあ、そんななんですが、正直、適材適所です。これが難しいんですが。敵のユニットに合わせて、ぶつけていきましょう。
わかりやすくいくと
Sフィッシュ、TINコッド等の戦闘機→マゼラトップ、ガウ等の戦闘機、爆撃機
フライマンタ→敵MSへの決定的な切り札
91式戦車→拠点制圧役
デブロック→水中の敵
 なんですが。水中の敵はデブロックでは無く、特にマリンザクなどのMSは地上に引っ張り上げて、フライマンタで。ドン・エスカルゴを作るなら、ガンダム作りたいところですし。
 順当にプレイしてれば。キャリフォルニア攻略辺りで、ホワイトベース&ガンダム部隊をドンと投入できます。ここです。ここからです。連邦プレイの一番の快感がここ! 原作であれば、「ガルマ死す」辺りでしょうかね。そこまでに、ガンダムが間に合えば、それまでの苦労が嘘のようにジオン軍を蹂躙できます。とはいえ、ウザい敵も多いんですけどね。
 アッザムで攻め込んでくるマ・クベとか。ガウで無駄に飛んでるノイエン・ビッターとか侮れない敵は、燃料切れにして、航空機などで囲むというのも良い手です。囲みが成功したら、4コマの方でもあったように、永遠の戦闘牢獄です。座敷牢っていうのがありますが、実際にはかなり厳しい仕打ちかもしれません。しかも囲んでいるユニットを勿体ないので、さりげなくファンファンに変更したりして。
 さて。15~20ターンのガンダム量産、無双が成功したら。この後はもう、力押しです。連邦軍は……いや、もう、ガンダムがね、強すぎなんですよ。あとホワイトベースも。主役だからしょうがないんですが、他はもう、趣味レベル。だって、ガンダム作っておけば、水中の敵も、宇宙の敵も、全部対応出来てしまうのですから。
 ジオン側でプレイしても実はその辺はあまり代わりません。連邦のようにガンダム……という決め毎が無いだけで、リックドムでもゲルググでも、ギャンでも、というか、ゲルググが量産できちゃえば、勝ちですけどね。ジオンプレイでもやはり、醍醐味は、ゲーム序盤をどうするか。大風呂敷広げて、戦争を始めてはみたものの。戦況は膠着状態に。継続して全方位展開することが出来なかったため、原作だと連邦軍に押されてしまったわけですが~それをどうにか打ち破るのかが、原作にはないIFを試みていくのが、楽しい! となります。
 実は全方位展開の、少数精鋭で多数の戦場で戦いを繰り返す……というのは、ジオン軍の方がちょっとだけ、相性がいいです。だって最初から、少数精鋭の最先端、MSを所持している上に、専用機などの特別製も存在しますからね。
 と、いうわけですが、後半、いきなりゲーム性が低くなるのは否めません。戦略級SLGにありがちな、中盤から後半はもう、普通現象です。最初に書いたように、戦場を分散させて、大軍で一箇所を攻めるなんていう頭が悪いやり方を取らなければ、いつの間にか勝利が手に入ります。
 正直、現状発売されている戦略級のSLGではどんな作品でもこういう展開になりがちです。これはもう、どうしょうもないのかもしれません。だってこれ、解消するには、他のプレイヤーとの対戦……にするしかないですから。でね。実際対戦型のSLGって存在するじゃ無いですか。あれはもう、将棋と一緒で、もの凄くシビアな世界なわけです。そこまで本格的にやりたい! ってプレイヤーさんは……どれくらいるんでしょう?
 個人的に、コンピュータ相手のSLGが好きな人の大半は、そこまでシビアな戦いは求めていないのでは無いか? と思うのです。そして、誰も傷付かない対戦相手(コンピュータ)を最終的には蹂躙するのが楽しかったりするのです。
 特に原作付きで、様々な作品が内包されている本作品です。まとめるのは非常に難しかったんではないかと思います。後半の難易度はそこそこで、各種原作のイベントを発生させて、ご褒美を手に入れるとか、色々試せるのがステキというか。
 最終的に気になるのは。2018年現在、この作品以上に、一年戦争、ガンダムの歴史を内包した、総合的な作品が登場していないことです。製作するのが難しい、というのは判ります。ですが、ガンダムの魅力を詰め込もうと頑張っている様な作品が……ほぼ見あたりません。大河ドラマではないですが、時間軸で歴史を追いかける……というその手の流れは、他に存在しません。単体で、MSを詰め込んだアクションとかは存在しますけどね。それはうん、違う。それはそれで楽しいかもだけど。まあ、そもそも。戦略級のSLG自体も早々発売されていないので比較のしようがないんですが。
 つまり。戦略級のSLGに、開発、特別などのシステムを追加することで、時間の経過を加えたこのシステムというのは、画期的であり、非常にレアで、もっと評価されてしかるべき部分だと思われます。このシステムでなら、南北戦争などのメインが1vs1である、歴史的な紛争を再現することはそう、難しくありません。第二次大戦の様に連合国と枢軸国、複数国vs複数国の複雑な歴史イベントの制御は物理的に難しいかもしれませんが。
 と。語れば語るほど。調べれば調べるほど、遊べば遊ぶほど、オンリーワンであり、他に代替え作品が存在しないことが判明していきます。つまりはこの作品のプロデューサーである牛村憲彦氏の偉大さが良く判る……わけです。尊敬しております。
絶対にプレイしなければいけない人
・SLGが好きと言いたい人、言ってる人→この作品は、連邦またはジオンのクリア後に他勢力でのプレイが可能になります。そのうち、最低では一本くらいは終わらせましょう。
・初代ガンダムが至高! とか、好きと良いたい人、言ってる人→連邦編、ジオン編は確実にクリアしたいところ。
・ガンダムマニアっぽく生きてみたい人→オールクリア。
・ガンダムオタクの高給取り&浮気しない&気弱男子を狙う人→30ターンくらいまではとにかくプレイ。
 オタク系の男子は近年、浮気しないから良い(出来るだけの度胸も技量も持っていないので)とか、優しいから良い(他人に対して強く言えるほど自分に自信が無い)なんて感じで、超絶肉食系の女子には目を付けられていることが多いですが、そこで必須になるのが「ガンダムスキル」です。
 これはガンダムスキルがあると確実にオタク男子との会話幅が広がるのが理由です。が、実はガンダムを知ると、ある程度オタクの本質を理解出来るという部分もあるため、とにかく強くなります。
 なんですが、これらの人は大抵、にわか知識であることがバレてしまい、逆効果になってしまうことも多かったりします。
 その場合、とりあえず、今回の初心者女性ライターさんの様に、一年戦争編のTV版を全話見ます。そして、おもむろに、この作品をプレイします。ゲームシステムも良く判らない、どうすればいいか良く判らない、ククルス・ドアンが好き~なんて会話の流れから「どうしてもー30ターンくらいで圧倒的にやられちゃって」とVitaを差し出します。
 相手が「フラマンタが~とか射程2の兵器が~」なんて言い出したら、完全に成功です。「勝ち方、教えてください」の一言で、彼の家、部屋で長時間密室デート確定です。だって、教えながら1ターンずつ細かくレクチャーしていったら、確実に数時間が経過します。その流れでの超近接肉弾戦に持ち込んでしまえば、勝利確定間違いなしです。
 そこで良かれと思って「貴方のTINコッド、ゲームと一緒でカワイイのね」なんていう余計な親父下ネタダジャレをぶっ込んではいけません。この手のオタクはガンダムネタと下ネタを混ぜるのを嫌います。方向性としては、「私が貴方のララァになってあげる……」程度で充分かもしれません。ってララアだと愛人枠確定な気もするので、「アタシ……プール付きの豪邸に住みたいんだ。ブールの下の格納庫にMSを隠しておけるような」でもいいかも。……ってこのセリフは「Z」だった。
 最後に。実は自分はジオン派だったことを思い出しました。ガンプラでザク部隊を作って、並べて愛でる……というクラフト系趣味の基礎を学んだ気がします。シャア専用ザクも三機で部隊にして、シャア、シャアル、シャアンの三兄弟がパイロットという脳内設定だった気がします。
 よく考えなくてても当時のロボットのビジュアルの中で、ジオン軍のMSは特異だと思います。ガンダムが当たり前の世界で、ほぼ緑とか、ほぼ青とか、なんでしょうね。単色。判りやすいですけど……現実の世界の兵器に運用からなにまで照らし合わせているという脅威の発想。
 その後、ギレンが密閉型コロニーに毒ガス注入とかダークな部分が垣間見えてきて、やっと落ち着きましたが、自分の中でもジオンびいきが止まらなかったのは確かです。
 なんですが。ゲーム作品を担当するようになって、自分よりもジオンびいきのライターさん、二名と組む事になります。彼らはたまに「○○だジオン」「そうかジオン」などと言う、所謂ジオン訛りが日常会話に滲み出てしまうレベルの猛者。
 そうなると、そこまでではない、自分は連邦でプレイするしか在りません。イヤイヤではないですが~お仕事ですから、プレイ開始します。
 そこから、ハマってしまいしました。ガンダム開発までどうやってしのぐかを研究することに。ひょっとして独裁国家よりも足かせ多いし、楽しんじゃね? と。
 そんな名作が。PSアーカイブスで600円程度で手に入ります。ガチャ二回です。どちらが賢いお買い物であるのか、判断するのは……貴方次第。あ。俺、今、上手いこと言った。
 PS4、そして未来の新ハードでプレイ出来るようになることを切に祈ります……。永遠に、永久にプレイし続けられる環境が構築されます様に。
高橋良明:ゲームライター。王立ゲーム研究部、原案原作担当。ゲームをこよなく愛する男。

この報告書は以下↓のマンガとリンクしています
王立ゲーム研究部 第1話

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